味のある階段を上って2階を覗いてみましょう。

昔の階段は勾配のきついものが多い
2階は2部屋あります。
西側に8畳、東側に6畳。
1階の座敷と前ノ間の直上に位置します。
写真は西側の8畳で、2階の廊下から部屋の南側を見たところです。
左側のガラス障子戸は、東側の6畳間との間仕切りです。

西側の8畳間
この部屋でパッと目につくのは、低く張られたベニヤの天井です。
天井板の下には小屋梁の下端が見えます。
これは、そのまま南側に飛び出して腕木を兼ねていました
(参照:出桁造り)。
小屋梁は南側の窓のすぐ上に配置されており、梁の上端までの高さは
だいたい2,100㎜くらい。
低いですね。
古民家の改修では、天井板を撤去して重厚な小屋裏を見せるのが定番です。
滑川H邸も、この低くて圧迫感のあるベニヤ天井は撤去することにしました。
部屋から廊下に出てみましょう。

階段を上がった位置にある廊下
東側6畳間と西側8畳間のあいだに大黒柱が見えます。
大黒柱の上には腕木を兼ねた小屋梁が乗っています。
廊下には天井が張られていないので、小屋裏がそのまま見えます。
大黒柱の頭をよく見ると、ケヤキの曲がりをそのまま使い、
その上に小屋梁を載せていました。
ツルッとしたケヤキ柱の表面とゴツゴツした小屋梁の対比。
とても趣きがあっていいですね。
鴨居の上には部屋側から張られたベニヤの小壁、
その上にベニヤ天井を載せる野縁、野縁の上にベニヤ板が少し見えます。
ただし、小屋梁の側面には天井が張られていた形跡が見られません。
壁を立ち上げた跡もありません。

小屋梁には天井を張った跡も、壁をつくった跡もありません
そこから、2階の部屋には当初から天井がなく、小屋裏がそのまま見えて
いたのではないかと推測されます。
天井が張られていなければ、床から2,100㎜という低い位置に小屋梁があっても
さほど圧迫感を受けなかったでしょう。
廊下には天井がないので、次回は廊下から小屋裏の中を覗いてみましょう。