カテゴリー: 滑川H邸 2020.9.1

滑川H邸徹底解剖 ④3種のガラスと猿頬面

玄関の右側には引違いの腰窓があります。

その下の腰壁は押縁の板張りです。

素敵なデザインの窓

ガラスは真ん中だけ透明で、周りは摺りガラスです。

中央上下の細く囲まれた部分だけは、ガラスが梨地〈なしじ〉模様になっています。

梨地とは、表面が梨の肌のようにザラザラしたものをいいます。

3種類のガラスを使い分け

写真では分かりづらいですが、ガラスの周りの桟は

面を大きく付けた「猿頬面」〈さるぼおめん〉(エテボオ面とも)です。

ガラス窓や座敷の竿縁天井などによく用いられる加工です。

 

面を取ると多少手間がかかりますが、それでも桟を細目に見せたかったのかもしれません。

 

 

これは別の住宅の天井の写真ですが、猿頬面とはこのような形をいいます。
断面が猿の頬の形に似ていることからその名が付けられました。

猿頬面

 

本物の猿の頬はこちら。

まあ、同じといえば同じですね。

猿の頬?

いまの人はこの形から猿の頬を思い浮かべるのは100%無理ですが、

昔の人にとっては、わりとあたり前のことだったのかもしれません。

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