現在、「古民家〈断熱〉リノベーション」が改修している古民家「滑川H邸」(埼玉県)。
よく晴れた暖かい日に、改修前の写真を撮影してきました。
撮影した写真を見ながら、この建物ならではの特徴を解説してみたいと思います。

建物南側に大きな庭が広がる。環境は文句なしの素敵な古民家です
この古民家はいまから60~70年くらい前、お施主さんのおじいさん、おばあさんが
建てられ、住まわれていたものです。
古民家のなかには、いわゆる養蚕型民家のように屋根裏を3層、4層にしている大型の民家も
ありますが、これは比較的小ぶりな「かわいい」建物です。
大型の民家は迫力があってよいのですが、そのぶん改修の際に空間を持て余したり
工事費がかさんでしまうので、小ぶりであることは決して悪いことでありません。
昔からの農村地域にある建物なので、母屋の裏には馬小屋が連結されていました
(現在は馬はいません)。
道路は南側で立派なお庭もあります。
見てのとおり2階建てです。
2階の屋根は切妻、1階は四方をぐるりと下屋が廻っています。
瓦は近年葺き替えられたそうです。
ガルバやスレートにせず、また瓦に葺き替えるというのが
なんともニクイですね。
埼玉県の深谷に近い土地なので、葺き替える前の瓦は小判の深谷瓦
ではなかったかと思います(現在は製造されていません)。
小判の瓦は地域ごとに特色があるため、屋根瓦がそのまま地域の景観を構成する
重要な要素になります。
ただ、瓦を新しく葺き替える際、いまどきの規格化された瓦に変えられることも多く、
せっかくの瓦屋根が地域の特色を消し、景観まで画一化してしまうことがよくあります。
地域密着の小判の瓦は、雨漏りなどがなければぜひ残したいところです。
葺き替えられた瓦は「雁足」も通っていて、状態の良いピシッとした印象です。
棟に針金が見えないので、平成13年以降の耐震性のある工法で葺き替えているようです。
写真では庭木越しに玄関が見えます(右側)。
玄関の左側は古民家の定番・縁側です。
写真からは分かりませんが、敷地の周りは畑、道路の南側は田んぼ、
夏は風が吹けば縁側で涼しく過ごせる環境が揃っています。
逆に冬は、南側に日射しをさえぎるものがないので、日がサンサンとして降り注いで
あたたかな縁側になります。
絵にかいたような素敵な古民家です。