きょうから何回かに分けて、古い瓦の「鑑定法」について解説してみようと思います。
ダメなポイントにひっかかるところがあれば、葺き替えたほうがいいという判断になります。
まずは、この写真をごらんください。

Q1|この瓦のダメなところは?
どこがダメでしょうか。
瓦のラインがずれてますよね?
この写真は極端な例ですが、瓦の並びを斜め方向から見たときのラインがずれまくっています。
このラインのことを専門用語で「雁足」〈がんあし〉といいます。
瓦は縦のラインや横のラインを揃えて葺くのはあたり前ですが、
じつは斜めのライン(雁足)も揃っていないとNGなんです。
雁足が揃っていないということは、平瓦がズレたり浮き沈みしているということに
なりますので雨漏りの危険性が高まります。
雁足は建物を使っているうちに少しずつずれてくることがありますが、
新築の竣工直後でも下手な瓦屋さんが葺くと若干乱れたりします。

ちょっとどうかというくらい乱れている雁足
もし、職人さんが瓦を葺いているところを見かけたら、しばらくじっと見てみてください。
職人さんがたまに屋根から降りてきて下からじっと見上げたりしています。
ちょっと休憩をしているのではなく、雁足の乱れがないかを
下からチェックしているんです。
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雁足の良い例。奈良県の今井町で見かけた古民家の屋根です。雁足に大きな乱れはなくきれいに通っています。全体を見渡しても雨漏りするような気配はまったくありません。奈良県は瓦の聖地とも源流ともいえる場所で、この技術力の高さと美しさは脱帽ものです
ちなみに、大棟〈おおむね〉、降棟〈くだりむね〉、隅棟〈すみむね〉といった
棟の部分が地震や台風や大雪でズレたりしても雨漏りの危険があります。
なお、
以下は一般の方でも分かる瓦屋根のチェックポイントです。
1)棟や平瓦が波打っていたりズレたりしている
2)土や漆喰などが落ちたり崩れたりしている
3)瓦が割れていたりヒビが入っていたりしている。または欠落している
4)落ち葉が溜まっていたり草などが生えたりしている
5)棟に針金のようなものがくくりつけてある
6)屋根の上にベランダや温水器などが乗っている
7)コーキングなどがびっしり打ってある
8)樋に何か詰まっている