屋内配線用の碍子(がいし)にはいくつか種類があります。
というわけで、
突然ですが私が古民家でよく見かける碍子トップ4を発表してみましょう。
いきなり第1位。
最もよく見るのは、お猪口のようなかたちをしたこの碍子。
こいつは「ノップ碍子」といいます。
ノップ碍子は梁などに取り付けて、電線を浮かしながら配線するために使用します。
露出する場所と隠蔽される場所の両方で使用できるのが特徴です。
電線はバインド線と呼ばれる金属線を使ってノップ碍子にしっかりと固定します。
つづいて、この長細くて四角いやつ。
名前を「クリート」といいます。
上下から2本の電線を挟んで配線していきます。
電線を固定するバインド線は必要ありません。
クリートの溝に電線を挟んで蓋をするようにネジ締めするだけです。
また、クリートを使っていいのは露出している場所だけです。
3つめ。
この筒のようなものは「碍管」〈がいかん〉といいます。
管状の碍子なので碍管(たぶん)。
電線が壁の中などを貫通する際、電線同士が交差する際など、
電線が他のものと近接するときはこの碍管を使います。
最後。
お椀のようなかたちをしているものは「ローゼット」です。
内部で電線と照明器具のコードを結び、梁などの下に照明器具を固定してぶら下げます。
以上、古民家の室内でよく見かける配線用碍子トップ4でした。
碍子についてインターネットで検索すると、
「碍子は陶器で出来ていて・・・」という記述をたまに目にします。
が、正しくは「磁器」です。
碍子は絶縁性と強度を兼ね備えた「磁器製」でないと、その役割を果たせません。
ちなみに、
日本の建物でも電気通信が使われ始めた明治時代初期、
碍子はもっぱら輸入品でした。
ところが、碍子を国産化できないかと有田焼の技術を使って製造してみたところ、
なんと輸入物の碍子よりも性能が高いものが出来、メイドインジャパンの碍子はすぐさま
世界中に輸出される日本を代表する輸出品になったのだそうです。
最近はなんでもかんでも「日本スゴイ」を連呼するテレビ番組に食傷気味ですが、
碍子に関しては正真正銘「日本スゴイ」です。
注)今回使用した、味のある手描きイラストは昭和十一年発行の
「内線工事 電気學校編」から転載させていただきました。