「古民家の暮らしっていいかも」と思い、郊外に物件を見つけて
家族4人で引っ越された方がいらっしゃいました。
いちばん困ったことは何だったかとうかがうと「冬、寒すぎること」。
天気の良い日は、もしかすると外に出たほうが暖かいのではないかと
いうくらい、家の中は底冷えがしてつらかったそうです。
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古民家は見た目は格好いいが、冬、寒すぎる
あらためて言うまでもありませんが、昔の建物には断熱材が入っていません。
断熱材とは何かというと、熱の移動を抑える建築材料のことです。
建築現場の写真なのでごらんになったことがあるかもしれません。
壁の中にぎっしり綿のようなものが詰められていたり、
泡のようなものが吹きつけられていたり。
あれが断熱材です。
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綿菓子のような繊維系の断熱材
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泡が固まったような現場発泡系の吹付け断熱材
たとえば寒い冬の場合、外気温が5℃くらいなら5℃の熱が家の中に
侵入しようとします。
窓をあけていなくても、壁や床や屋根からじわじわと冷たい熱が
暖かい家の中に伝わってくるのです。
それが「冬、寒すぎる」原因です。
家の中に侵入する冷たい熱は、どうすれば阻止できるでしょうか?
最も安上がりな方法は、「空気」でブロックすることです。
じつは空気は、自然界に存在する最強の断熱材なのです。
ただし「動かなければ」。
外の冷たい空気が家の中に入ってくるのは、空気の移動(対流)によって
熱が伝導するためです。
逆にいえば、空気が移動しなければ熱も移動しません。
ですから、「空気が動かない仕組み」をつくって家全体を覆えば、
外からの冷たい熱は家の中に入ってこられなくなるわけです。
その仕組みが断熱材です。
要するに「小さな空気の集まりを固めたもの」と思ってください。
イメージとしては緩衝材の「プチプチ」です。
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断熱材を拡大するとプチプチ状態になっています。空気を小さく閉じ込めることで熱の移動を防ぐのです
あのプチプチ一つひとつを、とーっても小さくしたものが断熱材です。
空気一つひとつがとても小さい部屋に閉じ込められているので、
空気は移動できません。
空気が移動できないので、熱も移動できなくなるのです。
日本の住宅で断熱材が使われるようになるのは、1960年代からです。
ただし、冬の寒さが厳しい北国から採用が始まりました。
東京あたりの温暖な地域で断熱材の使用が一般化するのは
もっと後のことです。
しかも建築材料としての断熱材には、結露の問題、気密の問題など
断熱材の導入と同時にさまざまな問題も同時に考える必要がありました。
それらがクリアされて、ようやくまともに断熱材を使えるようになったのは、
つい最近のことといえます。
あるいは、現在でも断熱材の使い方はまだまだ未完成という言い方もできます。
問題は、この断熱材を「冬、寒すぎる」古民家にどのように採り入れていくか・・・。
なのですが、その前に断熱材の基本的な話をもう少ししてみたいと思います。
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古民家を断熱材で暖かくするには?