夏は外付けブラインドで効率的に遮熱
冬はハニカムブラインドで熱を逃がさない

練馬Y邸[新築・戸建住宅]

南面の窓をめぐる冬と夏

4人家族が住む戸建住宅です。延床面積約100㎡のエアコンのいらない家としてはノーマルなサイズです。基本に忠実に、まずは南側の窓から日と風を入れるプランです。冬は採り入れた日をなるべく逃がさないように日没後は断熱ブラインドを閉めます。窓際の床面には2階の最頂部から回収した暖気を排出するスリットをつけています。

冬は南面の掃き出し窓からたくさんの日射を取得する

日没後は断熱ブラインドを下げて室内の熱をできるだけ逃がさないように

2階の最頂部で回収した暖気を床下から排出するスリット

夏は窓の外に設置した「外付けブラインド」で遮光・遮熱します。ブラインドはふつう部屋の中につけるものが多いですが、このように外につけたほうが遮熱の効果は遥かに高くなります。昔からある「よしず」と同じ仕組みですが、ブラインドなので角度を調節すれば入ってくる風の量を調節できます。また、目の前が道路ですので角度調節によってプライバシーの保護も出来ます。掃き出し窓の上には通風用の小窓をつけています。南面の窓は掃き出し窓だけだと風量の調整がしづらいので、このように小さな窓をつけておくと風量の調節が細かくできて便利です。

外付けブラインド。写真は寝室の窓の外側に設置したものです

ブラインドを閉めた状態

掃き出し窓の上に設置した通風用の小窓

リビングの中央に除湿型放射冷暖房機を設置

冷暖房機のメインは「除湿型放射冷暖房機」(PS HR-C)です。夏はパネルの表面温度が10℃くらいになって冷たい放射熱を発生します。同時にパネルの一枚一枚が結露します。室内の湿気をここに集約するかたちになるので、冷房機でありながら除湿機の役割も果たします。そのおかげで身体に感じる快適さはエアコンとはまったくの別物になります。

除湿型放射冷暖房機「HR-C」

夏の熱気は吹抜けを通って2階の窓から排出される

南側から入った風は吹抜けを通って2階北側の窓から抜けていきます。暖かい空気は自然と上に昇りますから、昇った先の窓を開けておけば夏はそこから熱気が抜けていきます。2階のロフトには、いちばん奥に排熱ファンをつけています。夏の熱気はここからも排出されます。家全体の換気扇として働いてくれるファンです。

寝室の上部に設けた風抜き用の窓

ロフトの排気ファン

(意匠設計:イン・ハウス建築計画、写真:西山輝彦)