風が吹き抜ける室内物干し場
洗濯物がすぐに乾くすぐれものです

千葉N邸[新築・戸建住宅]

プライバシーに配慮した南面の窓

4人家族のための戸建住宅です。南側が道路に面した敷地で、間口の狭い「ウナギの寝床」タイプです。南面からできるだけ日を入れたかったため、建物はぎりぎりまで後ろに下げて配置しました。

 

たくさん日を入れたいので南面の窓は大きくしたいところです。しかし目の前が道路の場合、いざ住み始めるとプライバシーへの配慮から窓は閉めきった状態になりがちです(日中もカーテンやブラインドが閉められます)。そこで、プライバシーに配慮しつつ日射も取得できるサイズを検討した結果、写真のようなサイズに落ち着きました。窓の形式は一部を除いて横すべり出し窓としています。急に雨が降ってきたとき、引き違い窓だと部屋の中に雨が吹き込むおそれがありますが、横すべり出し窓であれば(雨の量にもよりますが)その心配はありません。

南面は大きな掃き出し窓にしたいところですが、目の前が道路ならこれくらいのほうがいいですね

キッチンから南側のLDK、玄関方向を見る

最頂部の風抜き窓は南側に

南から入った風が家全体を通り抜けて出ていくプランです。風は中央部の階段を通って最頂部の窓から抜けていきます。各室の空気がこもらないよう、上部に風抜き用の欄間をたくさん設けました。

通常、最頂部の窓は北側に設けます。しかし、この住宅ではプランの都合上北側への設置が難しかったため南面にハイサイドライトを設けました。それが風抜き用の窓になると同時に日射取得用の窓にもなります。東西面の窓は熱負荷が大きくなるので小さめにしています。縦すべり出し窓が南北両方向からの風をつかまえてくれます。

上部には通風用の孔が開いています

ウインドキャッチャーとなる縦すべり出し窓。風を南北両方向からつかまえます

「半屋外」扱いとした玄関

南側に設けた玄関は一帯を「土間」という扱いにしています。玄関とリビングのあいだの間仕切りを閉めれば玄関廻りは「半屋外」になります。その上部のすのこ床は洗濯物の室内干し場です。窓を開けておくとすのこの隙間から上がってくる風で洗濯物がすぐに乾きます。

リビング側から見た玄関廻り。タイル張りの部分は「半屋外」という扱いです

玄関上部のすのこ床の部分が室内物干し場になります

冬の暖房器具はリビングに設けた「除湿型放射冷暖房機」(PS HR-C)だけで十分とのことです(お施主さん談)。夏はさすがに暑いので2階の寝室にだけエアコンを設置しました。

除湿型放射冷暖房機。エアコンのように風が体に当たる際の不快感がありません

冬は階段を通って暖気が上がるので2階は暖房いらずです

(意匠設計:桃建築計画室、写真:西山輝彦)