北側に2カ所トップライトを新設
風が抜ける気持ちの良い家になりました

川越の古民家[古民家改修]

昔の家の弱点は北側にあり

川越市にある古民家の改修事例です。一般に古い建物というのは、その土地の気象条件に合わせて室内環境を最適化しています。ただし、当時の建築材料、建築技術で実現不可能だった部分は最適とは言いがたい状態でつくらざるを得ませんでした。その最たる部分が「北側の処理」です。

 

いまも昔も、建物の北側は日当たりが悪く日中でも暗くなりがちです。現代の住宅であれば北側の屋根にトップライトを設けて日中の採光を確保するなどの方法を取れますが、昔は雨漏りのリスクがあるため屋根に孔を開けるという処理は考えられませんでした。この住宅も改修前はそのような状態で、北側が暗く空気も淀んでいました。

トップライトで通風と採光を確保

改修のポイントになったのは、やはり通風と採光です。改修前は全体的に風の抜けが悪かったのですが、北側にトップライトを2カ所新設してそこから風が抜けるようにしました。トップライトからは日も入ってくるので、日中でも暗くなりません。もともと南側に広い庭があり風の取り入れ口としてはとてもよい環境でした。トップライトの新設により、その庭のポテンシャルも十分生かされることになりました。

北側の屋根面に設けたトップライト。採光と同時に風抜き用の窓としても役立ちます

小屋裏に設けたトップライト。ここから熱気を排出します

写真左側の窓(南側)から風が入ってきます

西日対策にオーニング

浴室は西側にあります。夏は西日の影響で暑くなるので、浴室前には新たにオーニングを設けました。必要に応じてオーニングを出し入れして西日を遮光する仕掛けです。

浴室。窓は西側についています

オーニングをしまっている状態

オーニングを開いて西日をカット

(意匠設計:ケミカルデザイン一級建築士事務所、写真:小島純司)